2004-01-01から1年間の記事一覧

「澪標・落日の光景」−外村繁−

外村繁も阿佐ヶ谷文士と呼ばれた作家のひとり。井伏鱒二の「荻窪風土記」では太宰治に次いで、青柳瑞穂と並んで登場回数が多いとのこと(私が実際に数えたわけではありませんが)。 前妻の死を扱った作品や自身の性的な告白、夫婦ともに癌の治療をしながら静…

「落葉の上を」−永井龍男−

1987年に出た随筆集。ここで書かれているのは、ちょうど私が鎌倉学園を受験したりテアトル鎌倉に映画を見に行っていた頃のことで、書かれている内容とはまったく接点はないけれどちょっと懐かしい気分になる。1985年に鎌倉文学館の鎌倉文学館初代館長に就任…

「船の本 第3」−柳原良平−

一冊買うとついまた買ってしまうという悪い癖が・・・・。でも5冊揃えようとしない、あるいは揃わないのも悪い癖とも言えるかな・・・・。ちなみに某古本屋さんでは5冊セットで12500円で売ってました。昨日、今日と吉祥寺、月窓寺の盆踊り。ここ数年行って…

「おぱらばん」−堀江敏幸−

堀江敏幸の「郊外へ」を知り合いに借りて読んだときの気持ちは忘れられない。現実と虚構とそして史実をの垣根を軽やかに飛び越えて行き来し、そしてそれらが絡み合い緻密に組み立てられた構成の前に、僕はその世界にただ夢中になり、ただため息をつくしかな…

「船の本」−柳原良平−

ツイデニ、コンナホンモ、カッテミマシタヨ。 実を言えば柳原良平の本って、その丁寧、かつ繊細ともいえる絵の方を見てるだけで満足してしまって、文章はちゃんと読んだことがなかったりする。 船と言えば、去年北欧に行ったときに乗ったシリアラインか、高…

「江分利満氏大いに怒る」−山口瞳−

で、予告どおり山口瞳。といってもこの本についてのコメントはなし。一つ引用するとすれば・・・・もっともっともっと、暑くて暑くてガマンできないときはどうするか?次の言葉を三唱することにしている。「ブレーキ踏まずにアクセル踏んだ」ここ何年か夏に…

「伝法水滸伝」−山口瞳−

2冊続けて山口瞳。実は今読んでるのも山口瞳の本。なぜかといえば、ストックしてある本が山口瞳しかなくなってしまったから。 山口瞳、永井龍男の本については読む読まないにかかわらず見つけたら買うということにしていているので、ほかに読む本がないと山…

「ku:nel」(Vol.9/2004.9.1)

2カ月なんてすぐに経ってしまう。前の号が出たのが引越しする直前だったのでこの部屋に来てからもう2カ月になるわけで。時間が過ぎていくのは早いことは早いんだけれども、久我山4丁目に住んでいたときのことなんてかなり前のことのように感じられてしま…

「わが町」−山口瞳−

「たとえば一軒の床屋があって、日曜日にそこへやってくる高校生からおじいさんにいたるまでのひとが、順番を待ちながら、のんびりと一回分だけ読んでくれるというような小説を書きたいと思ってこれを書いた」・・・・というようなことが帯に書いてあって、…

「一個・その他」−永井龍男−

永井龍男は新聞の隅に見つけたなにげない小さな事件の記事をスクラップにして置いて、その事件を何年もかけて少しずつ頭の中でふくらませて一つの短編小説を作るという。 そのせいか文章から醸し出される雰囲気は彼の日常生活を描いた随筆と同じような感じな…

「パリ ノ ルール」

今年はお休みやお金、その他もろもろの理由から旅行なんて行けそうにないくて、しかも次の旅行先がパリという確立は割と低いと思うんですが、本屋で見つけてつい買ってしまいました。今から割と欲しかったんですよ。 旅についての本って、たいていはその国や…

「怡吾庵酔語」−里見トン−

自分の生涯について振り返り語った本。「話し言葉で読みやすいなぁ」と思っていたら本当に里見トンがしゃべった言葉を速記して文字に起こした後、自身によって赤を入れるという方法で書かれたということ。よく考えれば、里見トンは1888年に生まれて1983年に…

「Sugar and Spice」−蜷川実花−

最高気温39.5度、実際は気象庁の計測する気温よりも高いのでもっと暑い、私が勤めている会社の前は目の前が片側4車線の道路で、ひっきりなしに自動車が走っているので、出口を出た途端、道路の方からムッとした空気に押されてしまいます。で、気象庁がどん…

「暢気眼鏡・虫のいろいろ」−尾崎一雄−

尾崎一雄の小説は私小説なので自分の経験を元にというかそのまま作品化している。この「暢気眼鏡」も、このあいだ読んだ随筆集・回想集である「苺酒」に書かれていた尾崎一雄の生涯とかなり重なっている。 もし先に「苺酒」を読んでいなかったらかなり感じ方…

「巻頭随筆IV」−文藝春秋 編−

「文藝春秋」の巻頭に連載されている随筆をまとめた本の第4弾。1980年前後のものが多く、この辺になると「最近のものだなぁ」なんて思ったりするのだけれど、もう20年以上も前なんですよね。個人的には「1960年代までが戦後で1970年代の移行期間を経て1980…

「彼らと愉快に過ごす 僕の好きな道具について」−片岡義男−

愛用する道具を片岡義男が自分で撮った写真とともに紹介した本。掲載されている道具はタイプライターやナイフ、ノートコーヒーカップ、紙飛行機、おもちゃ、カメラ、紅茶・・・・など幅広い。後に出た「本についての、僕の本」「絵本についての僕の本」「文…

「三文紳士」−吉田健一−

戦後に文藝春秋の会社の前でゴザを敷いて入ってくる知り合いの作家に物乞いをしたというエピソードと吉田茂の息子であるという事実や「瓦礫の中」「東京の昔」に出てくるようなそれほどお金持ちではないけれど貧乏というわけではけしてないある意味有閑階級…

「紙のプールで泳ぐ」−片岡義男−

1983年から1985年にかけて「ポパイ」に連載された「片岡義男のアメリカノロジー」から抜粋した本。主に40年代から60年代のアメリカについて書かれた本や写真集から片岡義男が想起される当時のアメリカ像というものについて書いてあります。 でもどこか全体的…

「雑談 衣食住」−永井龍男−

このところ古本屋で見かけなくなっていた永井龍男の本がいくつか並んでいたので一冊だけ購入。昭和40年代に書かれた随筆をまとめた本なのだが、最近は随筆よりも短編小説の方がおもしろいと思うようになってきたので、こういう身辺をつづったものはちょっと…

「groovy book review」

ちょっした本棚のなるようなカフェに行くとたいていこの本が置いてあって、見つけるたびに気になるところを読んだりしていたので今さら読んでも新しい発見はないのだけれど、ブックオフで105円で売られていたのでつい買ってしまいました。ときどきテレビなど…

「苺酒」−尾崎一雄−

西荻のいつもよく古本屋さんで本を眺めていたらその日に限ってなぜかタイトルを含めてなんとなく気になってしまったのだけれど、どういう人なのか全然わからないので今度までに調べておこう、なんて思っていたら、たまたまそのときに読んでいた木山捷平の「…

「乞食王子」−吉田健一−

初期の頃の気ままに書かれた随筆集。それぞれの文章の長さも短いものが多いし、長いセンテンスや句点の省略などといった特徴が確立されていない分、全体として読みやすい随筆集になっていると思う。随筆ということもあるし「吉田健一の本を読んでみたいけれ…

「ブルーノ・モングッツィ」

こんな機会(どんな機会?)もそうないので平日の昼間っから代官山→中目黒→神泉というコースを歩く。いろいろ目的もあるのだけど久しぶりにマンゴスチンカフェに行ってみようと思ったのだ。 ここは前の会社の近くだったので週に2、3回は休憩代わりにお茶し…

「白兎・苦いお茶・無門庵」−木山捷平−

特に意味はないのだけれどできるだけ講談社文芸文庫ではなくて木山捷平とか井伏鱒二の随筆とか吉田健一の本を読みたいと思っているのだけれど、その講談社文芸文庫でさえちょっと前に出た本はなかなか見つけることができないくて、なんだか中高生をターゲッ…

「迷惑旅行」−山口瞳−

山口瞳が月に一回ドスト氏を絵を書くために、網走から松江、佐賀など日本の各地に赴いた際の紀行文集。 行き先が決まるともちろん出版社の担当者が綿密に旅行のスケジュールや宿泊先を決め、さらに目的地周辺に住む人々が次々と現れていろいろなところに案内…

「内緒事」−里見トン−

レコードやPCの収納兼机代わりになる棚を2つ作りました。これでもう少し整理すれば箱に入って積んであったレコードが片づくはず。 日曜大工なんて年に一回くらいしかしないけれど、そのたびに思うのは作ってみないとどのくらい強度があるのかわかないと言う…

「サルビア東京案内」−図案:セキユリヲ、文:木村衣有子−

613(無意味)の日。雨の降っていない誕生日は珍しい。ミオ犬に銀座のアフタヌーンティでジェイミー・オリヴァーのランチをごちそうしてもらった。バジルとオリーブオイルをたっぷり使った肉料理でおなかいっぱい。夜だったらアルコールをめちゃくちゃ飲んで…

「達磨の縄跳び おしまいのぺーじで 2」−文藝春秋 編−

「巻頭随筆」に続いて「オール読物」の悼尾に連載された昭和61年から平成8年までのリレーエッセイを集めた本。山口瞳、吉行淳之介、水上勉、吉村昭、開高健、丸谷才一、結城昌治といった作家のエッセイが収録されています。 どれも2ページくらいの短いもの…

「ku:nel」(Vol.8/2004.7.1)

ようやく「ku:nel」の新しい号を買う。ハワイ特集。最近いろいろな雑誌でハワイを特集していますね。流行ってるのかな。私自身はハワイに行ったことはないけれど、友達が一時期ハワイに凝ってしまって、バイト代がたまる度に年に2回くらい、それも2週間か…

「巻頭随筆」−文藝春秋 編−

タイトルどおり「文藝春秋」の巻頭に連載されている随筆をまとめた本。年代順に並んでいるわけではないので正確にはわかりませんが、1960年代後半から1970年代初めのものが100編収録されてます。。執筆者は和田勉、金田一春彦、井伏鱒二、芥川也寸志、淀川長…