2004-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「ku:nel」(Vol.9/2004.9.1)

2カ月なんてすぐに経ってしまう。前の号が出たのが引越しする直前だったのでこの部屋に来てからもう2カ月になるわけで。時間が過ぎていくのは早いことは早いんだけれども、久我山4丁目に住んでいたときのことなんてかなり前のことのように感じられてしま…

「わが町」−山口瞳−

「たとえば一軒の床屋があって、日曜日にそこへやってくる高校生からおじいさんにいたるまでのひとが、順番を待ちながら、のんびりと一回分だけ読んでくれるというような小説を書きたいと思ってこれを書いた」・・・・というようなことが帯に書いてあって、…

「一個・その他」−永井龍男−

永井龍男は新聞の隅に見つけたなにげない小さな事件の記事をスクラップにして置いて、その事件を何年もかけて少しずつ頭の中でふくらませて一つの短編小説を作るという。 そのせいか文章から醸し出される雰囲気は彼の日常生活を描いた随筆と同じような感じな…

「パリ ノ ルール」

今年はお休みやお金、その他もろもろの理由から旅行なんて行けそうにないくて、しかも次の旅行先がパリという確立は割と低いと思うんですが、本屋で見つけてつい買ってしまいました。今から割と欲しかったんですよ。 旅についての本って、たいていはその国や…

「怡吾庵酔語」−里見トン−

自分の生涯について振り返り語った本。「話し言葉で読みやすいなぁ」と思っていたら本当に里見トンがしゃべった言葉を速記して文字に起こした後、自身によって赤を入れるという方法で書かれたということ。よく考えれば、里見トンは1888年に生まれて1983年に…

「Sugar and Spice」−蜷川実花−

最高気温39.5度、実際は気象庁の計測する気温よりも高いのでもっと暑い、私が勤めている会社の前は目の前が片側4車線の道路で、ひっきりなしに自動車が走っているので、出口を出た途端、道路の方からムッとした空気に押されてしまいます。で、気象庁がどん…

「暢気眼鏡・虫のいろいろ」−尾崎一雄−

尾崎一雄の小説は私小説なので自分の経験を元にというかそのまま作品化している。この「暢気眼鏡」も、このあいだ読んだ随筆集・回想集である「苺酒」に書かれていた尾崎一雄の生涯とかなり重なっている。 もし先に「苺酒」を読んでいなかったらかなり感じ方…

「巻頭随筆IV」−文藝春秋 編−

「文藝春秋」の巻頭に連載されている随筆をまとめた本の第4弾。1980年前後のものが多く、この辺になると「最近のものだなぁ」なんて思ったりするのだけれど、もう20年以上も前なんですよね。個人的には「1960年代までが戦後で1970年代の移行期間を経て1980…

「彼らと愉快に過ごす 僕の好きな道具について」−片岡義男−

愛用する道具を片岡義男が自分で撮った写真とともに紹介した本。掲載されている道具はタイプライターやナイフ、ノートコーヒーカップ、紙飛行機、おもちゃ、カメラ、紅茶・・・・など幅広い。後に出た「本についての、僕の本」「絵本についての僕の本」「文…

「三文紳士」−吉田健一−

戦後に文藝春秋の会社の前でゴザを敷いて入ってくる知り合いの作家に物乞いをしたというエピソードと吉田茂の息子であるという事実や「瓦礫の中」「東京の昔」に出てくるようなそれほどお金持ちではないけれど貧乏というわけではけしてないある意味有閑階級…

「紙のプールで泳ぐ」−片岡義男−

1983年から1985年にかけて「ポパイ」に連載された「片岡義男のアメリカノロジー」から抜粋した本。主に40年代から60年代のアメリカについて書かれた本や写真集から片岡義男が想起される当時のアメリカ像というものについて書いてあります。 でもどこか全体的…

「雑談 衣食住」−永井龍男−

このところ古本屋で見かけなくなっていた永井龍男の本がいくつか並んでいたので一冊だけ購入。昭和40年代に書かれた随筆をまとめた本なのだが、最近は随筆よりも短編小説の方がおもしろいと思うようになってきたので、こういう身辺をつづったものはちょっと…