2004-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「おしまいのページで」−文藝春秋 編−

意図していたわけではなく、この時期に偶然に手に入れただけに過ぎないのだけれど、今年最後の雑記が雑誌「オール読物」の最後のページに数人の作家によって連載されていた随筆をまとめた「おしまいのページで」で終わるのはなんだかいい感じのようなような…

「銀座十二章」−池田弥三郎−

銀座で三代続いた天ぷら屋「天金」に生まれた著者が、自分の経験を元に銀座の街の変遷をつづった本。年末になると銀座や浅草の昔のことが書いてある本を読みたくなってしまうのはなぜだろう。でも正直言うとこういう本を読んでいても地理的な関係あんまり分…

「新版 大東京案内(上)」−今和次郎−

気がつけば歩いていると誰も彼もがサンタの格好をしているのでは、と思うくらい、吉祥寺だけでなく富士見ヶ丘駅前の通りをサンタの格好をした女の子が走ってます。セブンイレブンか牛角の店員だと推測されるのだけれど、コンビニでわざわざ店員がサンタの格…

「わが女房教育」−永井龍男−

なんだか仰々しいタイトルではありますが、内容は、結婚6年目の永井龍男が「今日こんな人を見たよ、でも君にはそんな風になって欲しくないね」とか「たまには君も気分を変えてみるのももいいよ」という、妻への手紙、といった趣の短い文章を集めたもの。文…

「井伏鱒二文集3 釣りの楽しみ」−井伏鱒二−

いくら釣りに興味がない人にもおもしろく書かれているといっても、この厚さで全部釣りの話というのはちょっと食傷気味になってしまう(文字は大きいが)。ましてや岩波から出ている「川釣り」と同じ話も多く収録されてるし・・・・。個人的には半分くらいに…

「京都のこころ A to Z−舞妓さんから喫茶店まで」−木村衣有子−

木村衣有子の「京都カフェ案内」を新幹線の中で眺めながら、京都に着くなり六曜社に行き、まる捨、進々堂、エフィッシュ・・・・などのカフェを回りつつ、京都の町を散歩したり、神戸に出て雑貨屋さんや本屋さんを巡り、南京町を歩いたのは、いつのことか、…

「雑文集 夕ごころ」−永井龍男−

「3ガ日の、雪の降るような冷え込む夜には、随分遠くから横須賀線の踏切の警鐘が聞こえてくる。ああ、あそこの踏切だろうと思うと、闇の中に真っ直ぐ線路が見えてくる。どこかへ出かけるつもりになれば、まだどこへだって行けるのだなと思ったりすることも…

「前途」−庄野潤三−

一言でいうと“戦時下の青春日記”。 でも悲壮感や苦しみが描かれているわけではない。20代はじめのどの世代にも共通した無為の日々やいらだちみたいなものが、毎日、友達と自分の好きな作家などについて語り、本を貸し合い、同人誌の計画を立て、ビール園に飲…

「リリパット ヴァルター・トリーアの世界」−ヴァルター・トリーア

ケストナーの「エミールと探偵たち」などの挿絵でおなじみのヴァルター・トリーア(ついくせでワルター・トリアーと言ってしまう)が、1937年から12年間約100冊、描き続けたイギリスの雑誌「Lilliput Magazine」の表紙を中心に、イラストや古い絵本を紹介し…

「井伏鱒二対談集」−井伏鱒二−

対談相手は、開高健、永井龍男、丸谷才一、河盛好蔵、尾崎一雄・・・・名前を眺めるだけでこの二人がどんな話をするのだろう、わくわくしてしまう人選は偶然と言うより必然か。でも井伏鱒二が開高健と対談して、一方で木山捷平が山口瞳と対談してる、だから…

「東京のうまいもの−散歩のとき何か食べたくなって」−池波正太郎−

こんな本を読んだせいで週末は浅草とかのんびり歩いてみたいなぁなんて思っていたら、熱を出して寝込んでしまいました。土曜の夜に雨の中、家に帰る途中、寒気がして歯がカタカタするのでおかしいと思っていたら、39度もあって、そのまま日曜、月曜と寝込む…

「山椒魚」−井伏鱒二−

この作品の題名を初めて目にしたのは、おそらく中学くらいの国語の授業だったような気がする。でもまさか自分が読むなんてことは想像もしてなかったね。この作品に限らず井伏鱒二の作品は、10代の頃に読む本ではないような気がするな。名作とか名著とか呼ば…