2005-01-01から1年間の記事一覧

「年年歳歳」−安藤鶴夫−

今年中にもう一冊くらい読んで、大晦日あたりにここの更新ができるといいのだけれど、どうなるのだろうか。 「あまカラ」に「食べもののでてくる話」という題名で連載されていたものをまとめた「雪まろげ」の続編。当然のことながらこちらのほうも、食べもの…

「青春忘れもの」−池波正太郎−

20代の後半頃は、毎年12月になると池波正太郎の随筆ばかり読んでいたものだけれど、最近ではもうほとんど読むことはなくなってしまってます。この雑記でもちゃんとした池波正太郎の本が取り上げられたのははじめてになるのではないかな。時代物まで手がのば…

「下町今昔」−秋山安三郎−

「年始名刺」「初湯初床」「神田ばやし」「酉の市」「江戸まえ言葉」「筆の話」「深川めし」「鍋焼きうどん」「うり声」「豆腐」「どじょう汁」「あんころ」「そばやの看板」・・・・など、昔の下町の風物や習慣、言葉、人々などについて、語ったもので、一つ一…

「東京味覚地図」−奥野信太郎 編−

それぞれゆかりのある人たちに東京の各地域を受け持ち、それぞれの地域のいろいろな味や店について書いたものを集めた本。「浅草」(檀一雄)、「新宿」(戸板康二)、「築地界隈」(池田弥三郎)、「神田」(高橋義孝)、「渋谷・世田谷」(奥野信太郎)、…

「小えびの群れ」−庄野潤三−

庄野潤三の作品は初期の頃をのぞくと、そのほとんどは郊外での子どもたちとの静かな生活の、ほんのささいな出来事や、遠くで暮らす兄弟とやりとり、学生時代のことなどをつづったものなのだけれど、読んでいて静かな共鳴を受けるようないい作品に感じられる…

「踊る地平線」−谷譲次−

中国からロシア、そして大陸横断の国際列車に乗り込んでヨーロッパへ。昭和のはじめ、1927年から1年超にわたって、中央公論社特派員の名目で夫婦でヨーロッパを旅行した際の旅行記。前に読んだ「テキサス無宿」もそうだったけれど、カタカナ、英語混じりで…

「ku:nel」(Vol.17/2006.1.1)

「ku:nel」は、会社員の私にとって田舎暮らしの現実離れした内容が多くなってしまっているような気がするし、広告とのタイアップ記事ばかりのような気もするし、前回の「本と料理」の特集でがっかりしたこともあって、もう買うのはやめよう、と思っていたの…

「巣立ちの歌」−永井龍男−

週末に雨が降ると一日のうちのほとんどをスペースシャワーTVとかカートゥーンネットワークとかをつけっぱなしにして、家の中でダラダラと過ごしてしまいます。一日のあいだにアジカンとaikoとレミオロメンとエルレガーデンとテリヤキボーイズと・・・・のPVを何…

「Hot Drinks around the World 世界のホットドリンク」−プチグラパ

12月に入って本格的に寒くなってくると、ストーブを少し強めにつけて、温かいココアなんかをすすりながらレス・バクスターの「Ricordate Marcellino」をテーマに、フォーフレッシュメン、ミルズ・ブラザーズ、ハイローズ、ブルースターズ、パイド・パイパー…

「青春放浪」−檀一雄−

いままで「美味放浪記」や「檀流クッキング」といった料理に関する本以外、檀一雄の本を読んだことはなかったのだけれど、古本屋の100円均一の棚に積み重ねられたなかから、なにげなく取り出してみて最初ページをめくってみたら、次のような文章が目に入って…

「私の人物案内」−今日出海−

予定ではこの本を取り上げるときに、鎌倉のイワタコーヒーなどについて書こうと思っていたのだけれど、なかなか読み終わらなかったり、書くことがなかったりしたせいで先走ってしまいました。 そんな鎌倉に、昭和7年頃移り住んだという今日出海の交友録であ…

「回想の本棚」−河盛好蔵−

河盛好蔵は、阿佐ヶ谷会のメンバーとしていつか読んでみたいと思っていた人。阿佐ヶ谷会でフランス文学者といえば、青柳瑞穂の名前がすぐに思い浮かんだりするけれど、この本ではその辺の交友録についてはあまりふれてなくて、ちょっと肩すかしだったりしま…

「BREATH TAKING」−金澤アリアードナ−

Fire-Kingをはじめとして、McKee、Jeannette・・・・といったメーカーの1920年代から1970年代にかけて作られた製造されたアメリカン・ヴィンテージ・グラスウエアを集めた本。本のサイズが大きいため、写っている食器の質感まで伝わってくるようで、ページをめく…

「春 その他」−吉田健一−

気が付けば週末が終わってしまいますね。金曜日の夜は古今亭駿菊独演会を見に行って来ました。独演会と言っても曲芸師の翁家和助や五街道佐助、昭和のいるこいるも出演。もっとも私は会社を出るのが遅くなってしまったので、途中からになってしまったのです…

「けむりよ煙」−永井龍男−

西南戦争で家を焼かれたために、鹿児島から東京に出てきて、銀座でたばこ屋を開業、自ら「広告の親玉」、「安売りの隊長」と称して、誇大広告的なキャッチフレーズを看板やポスターに使った宣伝でのし上がっていった岩谷松平と、輸入葉たばこを原料に、たば…

「沙羅乙女」−獅子文六−

週明けに名古屋に行ったから、というわけではないけど、昨日から体の調子がどうも悪い。早く寝たせいで、――しかも今日の朝寝坊した――直ってきたものの、昨日はのどが痛くてたばこを吸うたびに、何かを食べるたびに、吐き気がした。といっても、実際には“気”…

「佐野繁次郎展」−佐野繁次郎−

今年の4月から5月にかけて行われた東京ステーションギャラリーでの展覧会は、「行こう、行こう」と思っているうちに終わってしまったんですよね。佐野繁次郎に関しては、詳しい人がいろいろなところで書いているので、私はなにも言うことはありません。ぼ…

「閑な老人」−尾崎一雄−

1972年に発表された“作品集”。この人のような私小説(心境小説)場合、“作品集”と“随筆集”の区別がどのようにつけられているのか不思議。発表された媒体やコーナーの違いなのだろうか。ちなみにこの本は“作品集”と銘打たれていたけれど、隣にあった本の帯に…

「スーパーマーケットマニア アジア編」−森井ユカ−

海外に行った時の大きな楽しみの一つはその国のスーパーマーケットにいくこと。有名なメーカーの製品は、値段は別として、日本でも見ることができるけれど、誰もが使うような基本的な食材やお菓子、日用品などは、たいていどこの国でも、自分の国で作ってい…

「なんじゃもんじゃ」−山口瞳−

山口瞳に関しては、少なくとも文庫本だけは全部買っておこうと思っているので、持っていない本を見つけたら、そして高い値段がついていなければ、内容も見ずにそのまま買ってしまう。なので、バリから帰ってきて、この本を読み始めて、はじめてその内容がド…

「極楽人ノート」−富士正晴−

今年の一月にカシオ「EXILIM」という小さなデジカメを買ったので、普段、普通のカメラを持ち歩いていないときでも、デジカメだけは持っていって、ちょこちょこと写真と撮ったりしている。でも当初の目的だったPickwickのほうの更新はまったくできてない。つ…

「一階でも二階でもない夜―回送電車2」−堀江敏幸−

旅についての本だの交友録だのいろいろと考えたり、実際に本屋を回ってみたりしたものの、けっきょく旅行に持っていったのは堀江敏幸の本で、以前読んだ「回送電車」と「ゼラニウム」に加えて新しく「一階でも二階でもない夜―回送電車2」を買った。堀江敏幸…

「ひとり旅は楽し」−池内紀−

旅行中に旅の本でも読もうと思って、まだアップしていない旅の本からこの本を取りだしてみたのだけれど、けっきょくそのまま読んでしまった。ひとり旅なんてほとんどしたことのない私としては、若い頃にもっと旅行に行ったりしておけば良かったなぁと思う。…

「ああ、そうかね」−山田稔−

1996年に発表されたエッセイ集。なので、取り上げられている出来事や映画など、私の記憶にあったりして、「私もこの映画を観に行ったなぁ」とか「このとき〜してたなぁ」などと、思い出してみたり、私が読む本で、そんなことを考えながら読めるものもめずら…

「第2食いしん坊」−小島政二郎−

会社の帰りにタワーレコードによってHALFBYの「Green Hour」を買う。我ながらミーハーだなと思うのですが、6月から連続リリースしていたFREDOの「SMACK!」、HANDSOMEBOY TECHNIQUEの「ADELIE LAND」とあわせて、セカンド・ロイヤルのCDを続けて買ってしまっ…

「八方やぶれ」−富士正晴−

読んだことのない作家の本をはじめて読むときは、ちょっとドキドキする。もちろん闇雲に知らない作家の本を買っているわけではなくて、たいてい好きな作家が随筆などで言及しているのを読んだりして、その作家を知るわけだけれど、好きな作家が褒めているか…

「ku:nel」(Vol.16/2005.11.1)

週末は、その週に更新する本の準備におわれてしまってなかなか雑記まで手が回らない。準備といっても、タイトルや出版社など本の基本情報を打ち込むのと、表紙をスキャンしておくだけで、後は平日にコメントをつけてから更新する、という形でアップしている…

「上海の蛍」−武田泰淳−

前に読んだ「目まいのする散歩」よかったので、武田泰淳のほかの本も読んでみたいと思っているのだけれど、私は「三国志」とか中国史について、ぜんぜん興味がないので「司馬遷」とか「十三妹(シイサンメイ)」といった本にはどうも触手がのびないし、戦時…

「雪まろげ」−安藤鶴夫−

「あまカラ」に「食べもののでてくる話」という題名で連載されていたものをまとめた本。「雪まろげ」とは、漢字でだと「雪丸げ」と書き、雪の小さい固まりを頃がしてだんだん大きくしてゆく遊びのことらしい。題名も食べものとあまり関係ないけれど、内容も…

「風貌・姿勢」−井伏鱒二−

井伏鱒二が、「作品」という同人誌に参加していた頃から、機会がある度に発表していた、「知人についてのゴシップ風の短文」を集めたもの。発表された時期も昭和5年から昭和42年まで、掲載誌も「同人」から「早稲田文學」、「文藝春秋」「新潮」「日本経済…