2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「多甚古村」−井伏鱒二−

主人公は、南国の海辺の村に新しく赴任してきた甲田巡査。その甲田巡査が巻き込まれる大きな事件から小さい事件までの顛末が、彼自身の日記という形で描かれていきます。中には自殺や強盗といった深刻な事件も起こるのだけれど、どこかほのぼのとした雰囲気…

「アンクルトリス交友録」−柳原良平−

大学を卒業し壽屋に入社するきっかけから、宣伝部での開高健との交流、「洋酒天国」、東京での山口瞳とのエピソード、サンアド立ち上げの経緯、そして、自らの趣味である船について・・・・などを、柳原良平が語った本。随所に当時描いたイラストや漫画が掲…

「ku:nel」(Vol.13/2005.5.1)

「ku:nel」を眺めながらたまには料理でもしたいな、と思いつつ、夜中の3時半、会社帰り、旧山手通りを走るタクシーの中で、次の日曜日になにを作ろうか、なんて考えていたのは、もう2カ月前のこと。まだ冬の真っ盛りでものすごく寒かったけれど、2カ月経…

「続 飲み・食い・書く」−獅子文六−

気分的にはその前に「饗宴」を読んだばかりだし、獅子文六の随筆もまとめて読んだばかりなので、しばらくいいや、って感じではある。獅子文六なら随筆ではなくて小説の方を読みたい。でもこういうときに限って100円コーナーの片隅にこういう本を見つけたり、…

「ぼくのニューヨーク地図ができるまで」−植草甚一−

例えば今の若い人たちに、植草甚一という人はどのように受け入れられているのだろう。去年の9月からスクラップブックが再発されていて、時々本屋で平積みされているのを見かける。やはりある程度は売れているのだろうか、よく分からない。自分が興味をなく…

「中華街にて」

ちょっと用事があって、何年かぶりに中華街に行きました。5年以上ぶりかな。みなとみらい線の影響か3連休の中日だからか分かりませんが、どの通りも人でいっぱいで自由に歩けないくらい。街並みもなんだか大きな建物ばかりになってしまっていて、テーマパ…

「饗宴」−吉田健一−

あとがきには「昔書いた『饗宴』という随筆が中心になっているこの本の内容は、出版元の編集部の御好意によって集められたものである」と書いてあるけれど、「あまカラ」に掲載された食に関する随筆をまとめたものだろうということ以外、実際にどのようなに…

「パリのおさんぽ―パノラマでいこう!」−プロジェ・ド・ランディ−

「旅のカケラ−パリ・コラージュ」もうそうですが、パリってフォトジェニックな街なのだなぁ、と思う。「旅のカケラ」では、看板や標識、マンホールなど、ミニマムな視点で撮り集めた写真がおもしろかったし、こちらは通りや建物を大きく捕らえたパノラマ写真…

「銀座散歩と無印良品のメガネ」

先日、無印でメガネを新調しました。前のメガネは多分3年くらい前に買ったのですが、かなり汚れてしまっていて、そろそろ買い換えたい、と思っていたのですが、いざとなると探すのも面倒で・・・・。前にもどこかで書いたけれど、眼鏡屋で度の入っていない…

「大阪の宿」−水上瀧太郎−

いつか大正・昭和初期の文壇における学閥(というのかな)について――具体的に書くとまずは早稲田、慶応から、――きちんと調べてみたいと思っている。思いつくままに簡単に書くと、早稲田は、横光利一、正宗白鳥、井伏鱒二、尾崎一雄、広津和郎、小沼丹・・・…

「初舞台・彼岸花」−里見紝−

講談社文芸文庫のいいところは、巻末に年表と作品の一覧が載っていることで、この本でも、生涯に20以上の長編、300以上の短編、そして随筆や紀行文など、膨大な作品を残したという里見紝の作品がリストアップされていて、それを眺めるだけでもなんとなく楽し…

「Stamp stamp stamp Europe」−塚本太朗−

切手収集というのは、子どもの頃誰もが一度は夢中になるものなのでしょうか。私は集めたことのがないので分かりません。子どもの頃、集めていたものといえば、キーホルダーと切符くらいかな。キーホルダーは遠足や旅行に行ったときに必ず買ってましたね。特…

「柏水堂のプードルケーキ」

デジカメを買ってから出かける時には必ず持ち歩いて、行った店とか食べたものなどを撮っているので何枚か写真が溜まってしまってます。なので、とりあえずThis Weekにあまりこだわずここも更新していきたい。それからカヌー犬ブックスのほうの雑記と重なるこ…

「集金旅行」−井伏鱒二−

荻窪にあるあるアパートの主人が死んで、小学生の男の子がひとり取り残された。主人と親しかった主人公は。部屋代を踏み倒して逃げた人たちから勘定を取り立てるため、昔の恋人に慰謝料を請求する年増美人と一緒に、岩国、下関、福岡、尾道、福山と集金旅行…

「吟味手帖」−小島政二郎−

雑誌「あまカラ」のせいで、なんとなく小島政二郎というと食べ物に詳しい、食通というイメージがあるけれど、久米正雄に「小島なんか、鼻ッつまりじゃないか。鼻ッつまりに、物のうまいまずいが分かってたまるものか」なんて言われていたとは。とはいうもの…

「婚約」−山口瞳−

3月になっても寒い日が続いていて、なかなか春らしい暖かい日は来ない。しかも今日の夜から明日にかけては雪が降るらしい。まだ外は薄日が差しているという感じだけれど、どうなのだろう。ここ一年はいろいろなことをどうもマイナス方向に考えがちだったよ…

「LeBol カフェオレボウル」−山本ゆりこ−

うちにある2つのカフェオレボウルは、ほとんどカフェオレを飲むときに使われることはなくて、おもにはスープやごはん、あるいはちょっとしたお総菜などをよそうのに使われているのだけれど、そういった用途としても機会が、出会いがあれば、いい感じのボウ…