「おしまいのページで」−文藝春秋 編−

意図していたわけではなく、この時期に偶然に手に入れただけに過ぎないのだけれど、今年最後の雑記が雑誌「オール読物」の最後のページに数人の作家によって連載されていた随筆をまとめた「おしまいのページで」で終わるのはなんだかいい感じのようなような気がする。解説に書いてあるように「『オール読物』に『おしまいのページで』があるせいで、『オール読物』は一段と品がよくなった」と書かれているように、この雑記もちょっとは品が良くなるなったりしないだろうか。
収録されている作家は、獅子文六丸谷才一永井龍男吉行淳之介開高健井伏鱒二尾崎一雄山口瞳安岡章太郎立原正秋水上勉小沼丹・・・・などなど。なんて豪華なメンバーが毎回、ちょっとした毎日の中での体験や考えたこと、思ったことを書いている。一つ一つはそれほど長くはないので物足りない気もするけれど、その中できちんとまとめられていてどれもうまい。随筆というのはこういうものだという見本のような本といえるのではないだろうか。

さて先に書いたようにおそらくこれで今年の雑記もおしまい。というわけで、今年読んだ本をちょっと総括しておきます。まず、ここで取り上げた本は全部で159冊。雑誌や写真集、絵本なども混ざっているので、だいたい3〓4日で1冊の本を読んでいる計算になるかな。これが多いのか普通のなのか分かりませんが、自分の生活を考えるとこのくらいかな、と思う。
作家別に言うと山口瞳が18冊、永井龍男が15冊、井伏鱒二が10冊、吉田健一が8冊、片岡義男が7冊、といったところが多い。山口瞳永井龍男井伏鱒二の3人で、43冊、約1/3というのも偏ってますね。木山捷平上林暁小沼丹獅子文六、外村繁などはもっと読みたかったけれど、数的に少ないのは簡単に手にはいるわけではないから。自分では庄野潤三はもっと読んでいるような気がしたけれど、4冊だけというのはちょっと意外。絵本や写真集、デザイン関係の本もほとんど買っていないので、来年はもう少し買いたいですね。