「八方やぶれ」−富士正晴−

canoe-ken2005-10-05

読んだことのない作家の本をはじめて読むときは、ちょっとドキドキする。もちろん闇雲に知らない作家の本を買っているわけではなくて、たいてい好きな作家が随筆などで言及しているのを読んだりして、その作家を知るわけだけれど、好きな作家が褒めているからといって、自分が気に入るかどうかの確証はないわけで。
中には読み始めてすぐに「!」となる作家もいるし、最初は「どうなのかなぁ?」なんて思いつつ、2、3冊読んでみたら急にはまってしまう作家もいる。それは人も同じで、初めて会ってですぐに友達になる人もいるし、何回か会っているうちに気が合うということもある、そういうこと。
富士正晴に関して言えば、たまたま古本屋で気になっていたのと、山田稔が寄稿していた「VIKING」という同人誌の会員だったということがきっかけだったので、言うなれば、山田稔という近所の人の仲介で見合いをした、という感じかな。で、第一印象は悪くないので、また何回(何冊)かデートして(読んで)みて決めたい、という感想にしておきます。

さて、来週初めくらいにトップページに告知しますが、15日から20日までバリに行ってきます。北欧、イギリスと物欲の旅が続いたので、今回はなにもせずにのんびりと過ごす予定。
バリに行くのは5年ぶりで、前の時は、出発の飛行機が8時間も遅れて、そのあいだ成田空港のなかで時間をつぶす羽目になり、結局、ホテルに着いたのが午前4時になってしまったり、ミオ犬がホテルのプールでおぼれたり、最終日に私が39度の熱を出して空港の医務室に運ばれたり・・・・いろいろありました。
とりあえず今は、旅行にどんな本を持っていくか思案中。いちおう一人の作家の本だとか、同じテーマの本をだとかをまとめて持っていこうと思っているのだけれど、なかなか決まりません。今のところ交友録か、あえて旅の紀行文にするか、それとも木山捷平小沼丹の本を読みかえす・・・・などと、迷ってます。けっきょくは、旅行に本を持っていっても意外と読めなかったりするんですけどね。それでも本を持っていてしまうのは、旅行中にあいた空白を本で埋めようとするさもしい精神の現れか、もしくは旅行中という非日常に日常を持っていくことのパラドックスを楽しむためか、なんて大げさに考えてもしょうがない。それよりも、先週、バリで爆破テロがあって、日本人の死者も出ているというのに、そんなふうにのんびりと構えていて大丈夫なのか、無事に帰ってこれるのか、ちょっとシムパイ。