「吟味手帖」−小島政二郎−

canoe-ken2005-03-04

雑誌「あまカラ」のせいで、なんとなく小島政二郎というと食べ物に詳しい、食通というイメージがあるけれど、久米正雄に「小島なんか、鼻ッつまりじゃないか。鼻ッつまりに、物のうまいまずいが分かってたまるものか」なんて言われていたとは。とはいうものの、日本のあちらこちら出かけていっておいしいものを求めるさまを読んでいると、ほんとうにたべることがすきなのだなぁ、と思う。もちろん“好き”なだけではないのだろうけれど・・・・。今の世の中なんて小島政二郎に言わせれば、まずい食材に過度に人工的な手を加えたどうしようもないものばかり、ということになるのだろうか。いや、食べ物だけでなく、空気までまずいと言われそう。

こんな本を紹介しつつ書くのもなんですが、日曜日に中目黒にあるくろひつじにジンギスカンを食べに行ってきました。倉庫を改装したという店は、古い木の柱や窓など、ところどころにその面影を残しつつ、高い天井と大きく取られたガラス窓、白いテーブル・・・・など、一見するとここでジンギスカン?と思ってしまうくらい。入り口にある上着や鞄を入れるロッカーなどもカラフルで、でもきつい印象を与えることのなくていい感じ。
その印象とは逆に、メニューはジンギスカン、追加肉、追加野菜、ライス、キムチ、あとはソフトクリームとドリンクのみ。肉の方も一般的にジンギスカンに使われる生後1歳未満のラム肉ではなく、生後1〜2歳未満のマトンを使っているとのこと。帽子のようにまんなかが盛り上がった鉄板で、やわらかいお肉を焼きながら、昼間からビールを飲んでいると、いくらでも食べられそうな気分になってしまいます。隣でどこかのお店の店員らしき男の人が2人いて、まるで定食のようにガンガンお肉や野菜を焼いていたのもなんだか今の中目黒っぽい。
私は鼻ッつまりなんでぜんぜん気がつきませんでしたが、帰りに渋谷に寄って、タワーレコードのエレベーターに乗ったら、すごい羊の肉の匂いがしていたそうです。