「海揚がり」−井伏鱒二−

canoe-ken2006-04-09

というわけで、井伏鱒二の「海揚がり」を読む。表題は、瀬戸内海に沈んだ骨董品を引き揚げる仲間に入らないか、と誘われる話で、このほかに徴用中の戦死した戦友のことを書いた「ブキテマ三叉路と柳重徳のこと」「徴用時代の堺誠一郎」、木山捷平上林暁についての随筆など、8編が収録されている。

週に一度は、荻窪を自転車でふらふらするようになって3年くらいになる。せっかくなので、荻窪のいろいろなところで、ご飯を食べたり、お茶したりしたいとずっと思ってはいるのだけれど、実際には友達とは居酒屋で飲んでしまうし、お茶するときはついドトールかPOMATOですましてしまう。
ささま書店近くの地下道を南口から入って出たところに、戦後にできたような古い小さな商店街、その周りにも細い路地があり小さなバーや居酒屋があって、たいていの場合、意味もなくこれらの路地を通って、青梅街道に出る。そしてその度に、井伏鱒二小沼丹上林暁・・・・といった人はこの辺で飲んだりしていたのだろうか、たまにはこんな場所で飲んで帰るのもいいかな、とちょっと思う。いや、建物はそのままかもしれないけれど、店自体は変わっているのだろう。実際、最初に来た頃に比べて、ところどころ入り口の雰囲気が変わっている店があるし、最近は、建物自体が壊されて、建物と建物のあいだにぽっかりと小さな更地ができていたりする。吉祥寺のハモニカ横町みたいになることはなさそうだし、何年後かには再開発とかいわれて大きなビルが建っていたりするのかもしそうな気がするので、行くなら今のうちかもしれない。
そしてこの頃は、そんなことばかりなので、それを寂しいとあまり思わなくなってしまったのが、寂しかったりもする。

天気がよかったので、自転車で西荻まで行って、駅前に自転車をおいて、途中のしみずやで総菜パンを買って、善福寺公園に桜を見に行ってきました。もっとも先週雨が降ったり、風が吹いたりしたせいで、桜の花はほとんど散ってしまっていたけど。
でも、善福寺公園に行くのははじめてだったせいもあり、ベンチでパンを食べて、池のまわりを一周して、何年かぶりにボートに乗っただけだったのですが、さわがしい学生の団体もいないし、小さな子どもづれや犬をつれたおじいさん、おばあさんが散歩していたり、井の頭公園とは違ったのんびりした雰囲気があって、すっかり気に入ってしまった。またお休みの日に散歩したり、テーブルや椅子も置いてあったりしたので、友達とピクニックをしたりしたい。というより、駅から遠くても良いから、この辺に住むのもいいなぁ、と思う。ここも外環道路の地下道計画があるみたいだから、いつまでこの環境を残せるか心配。
家に帰って東京外かく環状道路のホームページを見たら、「それは都会に住むのだから止むを得ない。いやなら引越せばいい。地域エゴで邪魔されたら、多くの人がいい迷惑です」なんて意見もあったりする。こわいなぁ、こういうことわざわざ手紙で送るという行為も、それを平気で公開する神経も信じられない。見てると気が滅入ります。