「自由学校」−獅子文六−

canoe-ken2005-09-08

どこで、何を読んでそう思ったのか分からないけれど、この「自由学校」は、戦後の鎌倉アカデミアを題材とした小説、となぜか思いこんでました。鎌倉アカデミアといえば、林達夫高見順吉田健一大仏次郎木下順二平野謙、吉野秀雄・・・・といった人が講師を務め、生徒には、山口瞳いずみたく前田武彦等がいたという大学令によらない大学で、自由大学とも呼ばれているのでその辺が勘違いのもとかもしれません。もちろんフィクションなので実際の講師たちが出てくることはないだろうけれど、個性の強い講師たちをどう描いているのか、また戦後の鎌倉の様子などがどのように描かれているのかなど、考えるだけでわくわくしてしまい、獅子文六の作品の中でも、特別に読むのを楽しみにしていた本でした。
だから下鴨神社の古本市で見つけたときも、実際に読み始めるときも、普段なら先に読むカバーに書いてあるあらすじや、巻末の解説もまったく見ずにページをめくりはじめ、なんだか思っていたのと違うことにすぐに気づいて、あわてて解説を読み直すはめに。

30代の気の強い妻と、体は大きいが怠け者の夫を主人公に置き、ある日、妻に「出ていけ」といわれた夫が、そのまま家を出てしまうことがきっかけで起こる珍騒動(?)が描かれていて(誤解を恐れずに、大まかに言ってしまえば、獅子文六の小説のほとんどは“珍騒動”なんですけどね)、その顛末を描きつつ、戦後の「民主主義」、「男女平等」、「自由」・・・・といった世相や思想を皮肉っていて(からかうといったほうが近いのかも)、それと物語の絡ませ方が絶妙。その主張に関しては、もちろん今でも通じるものではあるのだが、「民主主義」も「男女平等」も「自由」も、いろいろな思惑や利権、政治的なかけひきの材料となってしまって、複雑になってしまった今では、この作品で描かれているようなストレートな皮肉では通じない。でもそれが含まれているかどうかで、作品の広がりがぜんぜん違ってくるのではないかなと思う。

このところ、近況的なことを書いてなかったので、最近、行ったところなどをいくつか。

・毎年、恒例になりつつある横田基地の友好祭。今年は花火を見ようと思って夕方から出かけてみました。福生ではまず基地の中で、厚い肉のみのいかにもアメリカンなハンバーガーと、まだ霜が付いている冷凍のケーキなどを食べ、その後、街道沿いの雑貨屋さんなどをのぞいて、デモデダイナーでサラダとか食べてから、花火の直前に基地に戻ったのですが、なんとすでに入場が終わっていて、道ばたから花火を見ることになってしまった。来年は、最初に福生の街をふらついてから、基地の中に行こうと思う。

・9月3日まで吉祥寺のfeveでやっていた「mina perhonenのアトリエ展」にいく。もちろんいくら私がSサイズの服ばかり着ているといっても、女の子ものばかりのミナの服には興味はありません。色合いと模様のバランスがいいな、とは思うけどね。予想通り会場は2、3人組の女の子たちでいっぱいで、一人で行った私にはちょっと居心地が悪かった。

・セキユリオがパッケージのデザインをしたたばこを、神戸に行ったときに4箱も買い込んだのだけれど、どうも私には強い感じなので吸う気になれない。もともとおみやげに誰かにあげようと思っていたのだが、よく考えてみれば、私の周りの喫煙者で、セキユリオのデザインを喜ぶ人が見あたらない・・・・。

・神楽坂のKADOで食事。ここは古い民家をそのまま利用したカフェ(昔風に「古い民家をそのまま利用した家(うち)」といったほうが似合うかも)。夜はコース料理のみなのだが、珍しい材料を使った料理が小皿で次々と出てきて、小食の私にはうれしかった。次回は昼間に来て、神楽坂周辺を散策してみたい。

・3年半ぶりに携帯を買い換えた。前の機種なので1円。基本的にあまり電話にも出ず、メールのやりとりを頻繁にするわけではないので、携帯を持つ意味はそれほどないような気もするが、画面がきれいで文字が読みやすくなったのはうれしい(私は単なるお年寄りなのか?)