「他人の帽子」−永井龍男−

canoe-ken2005-02-02

昭和35年から日経新聞に230回にわたって連載された新聞小説。なにか起こりそうな、そして秘密がありそうな感じをかもし出しつつ、でも最終的に劇的なクライマックスを迎えるわけではないというのが、永井龍男らしい。新聞連載の大衆小説なのでそれほど気合いを入れて書いているように思えないし、実際、割と気楽に連載していたのだろう、なんて言ったら失礼か。
でも、おそらく現在の作家でこの感じそのままの小説を書いている人がいたら、私は「退屈」のひと言ですましてしまうだろう、と思う。昔のことだったら許せてしまうというのはなんでかな。ある意味逃げてるとも言えますが・・・・。

この作品は違いますが、永井龍男の作品も「街燈」「明日はどっちだ」「風ふたたび」など、いくつか映画化されているものがあります。原作を読んでいるものがないので、内容は分からないけれど、新聞や週刊誌に連載されたものがほとんどみたいですね。なので、どれも他愛のない物語だろうということは想像つくのだけれど、いつかそれらを見ることができたらと思ってます。そんな機会はくるかどうかは分かりませんが・・・・。それで、去年フィルムセンターで上映されたのに、すっかり気がつかなかった獅子文六原作の映画みたいならないように、フィルムセンターや阿佐ヶ谷ラピュタの上映スケジュールを、気がついたときに必ずチェックするようにしているのですが・・・・。でも、そう思っていると機会はなかなか訪れないもので、忘れたことに上映されたりするんだろうなぁ。