「男性自身 冬の公園」−山口瞳−

毎日寒いですね。明日は雪が降るとのこと。雪が降った日に会社に行くのは面倒だけれど、休みというのも嫌なものです。
何年か前、朝起きて窓を開けたら雪が積もっていて、カメラ片手に出勤したら、いつもなら7、8分なのに駅まで行くのに30分くらいかかったことがあったっけ?そのときは遅刻というものがない会社だったから。そんな感じで12時過ぎに会社に着いたのですが、もちろんまだ誰も出勤してませんでした。

「冬の公園」という今の時期にぴったりなサブタイトルがついたこの本には、単行本の「男性自身」第1集と第2集がから55編が収録されています。本当ならば、絶筆してからもこれだけは連載を続け作者が亡くなる直前まで執筆し、自ら「大河小説を書くつもりで書いている」と言っていたほどのシリーズなので、全部単行本で読むべき作品なのだけれど、単行本がなかなか見つからない、あっても値段が高い、文庫本で読んだ方がなんとなく内容と合ってるような気がする、といった理由から文庫本を読んでいる。でもその文庫本さえももう絶版で、今出ているものは「傑作選」といったタイトルになってしまっている。
そんな失礼なことがあって良いのだろうか、人が全身全霊をかけて書き続けたものをそんな切り売りをして出版社として良いのだろうか、それは作者を侮辱しているんじゃないだろうか、本来ならばある時代の重要な財産としてきちんと残して置かなくてはいけないものをあっさりと捨て去ってよいのだろうか、それは出版社の思い上がりじゃないか・・・・とつくづく思ってしまう。