「荻窪風土記」-井伏鱒二-

井伏鱒二といえば「黒い雨」か「山椒魚」くらいしか知識がなくて、おまけに前者は読んだこともないし後者を読んだのは中学生の頃であんまり記憶がなかったりする。そんな作家の本をいまさら読んでみようと思ったのは、大好きな小沼丹の師匠ということと荻窪に住んでいたということを知ったから。ほんとは初めに「珍品堂主人」を読みたいと思っていたのだけれど、先週の土曜日に古本屋周りをしたときにたまたまこの本を見つけてしまったのです。

しかし今杉並に住んでいるもののそれほど地理に詳しいわけではないので、通りの名前とかお店の名前などが出てきても分からないものがばかり。生まれも育ちも、そして現在も荻窪に住んでいる友達を思い出しては「○○だったらわかるんだろうなぁ」と思いながら読んでます。
まぁそれよりも昭和初期から太平洋戦争ぐらいまでの杉並の様子や作家を目指す人たちの交流がおもしろいです。太宰治木山捷平、外村繁、作家じゃないけど徳川夢声など阿佐ヶ谷、高円寺、荻窪には多くの作家、作家希望者が住んでいて、ミュージシャン希望が集まる今の様子とあまり変わらないかもしれません。