「梔子の花」-山口瞳-

山口瞳の本は柳原良平が表紙を書いていることが多くて、それにひかれて前々から一冊は読んでみようと思っていました。でもこの本を含めて「酔いどれ紀行」や「新東京百景」「私本歳時記」など読んでみたいなぁと思うものが軒並み絶版になってしまって本屋に置いてないし、意外と古本屋さんにもない気が‥‥。

この本は、多分何かの週刊誌とかに一年間連載されたものがそのまま収録されているのだろうけれど、「空っ風」から「土筆」「夏帽子」ときて「秋時雨」と一年間をテーマとした短編が40数編収録されています。短編といっても原稿用紙10枚くらいの小話と行った感じのもので、さらにいうなら50代から60代のサラリーマンの思い出話しや飲んだ席での愚痴みたいなものがほとんど。多分数年前の私だったら「くだらない」と一蹴したかもしれないけれど、最近はこんな話を電車の中でちょこっとずつ読んでいくのも結構楽しいと思う。言い換えると楽。

希望としては、何かの用事があって会社を出たときに、予定よりも早く用事が終わってしまったのでちょっと喫茶店でコーヒーでも飲んで帰ろう、なんて時に3、4編読んでみたい。まぁ私は仕事中ほとんど外出することなんてないんですけどね。