「男の風俗・男の酒」−丸谷才一VS.山口瞳−

canoe-ken2006-08-11

一時期、山口瞳永井龍男の本ばかり読んでばかりいたような気がするのだけれど、最近はなかなか手に入らなくてほとんど読んでいない。山口瞳に関しては、まだ普通に手に入る本(文庫)で、読んでいないものがあるので、今年の命日あたりにまた何冊か続けて読んでみようと思ってる。
さて、山口瞳の対談と言うと、高橋義孝木山捷平、あるいは常盤新平との対談くらいしか思いつかなかったりする。前に河出から出ていたムックに何人かの対談が収録されていたのだが、あまり内容も覚えていない。偏見に満ちた持論を強引に展開するところを山口瞳の真骨頂とするならば(それも偏見か)、対談という形式は似合わないような・・・・、というのも偏見ですかね。前述した人たちも、師弟の“師”と“弟”で、内容的には対談というよりもインタビューに近かったような気がします(前者では山口瞳が、後者では常盤新平がインタビュアー)。もっとも本人もこの本のまえがきで「気持ちよく終わる対談というものはあまりないものだ」みたいなことをいってたりするし・・・・。
丸谷才一は、その辺のことがよく分かっていて、ときに山口瞳の意見に同調して、「そこがあなたの持ち味なんですよ」みたいなことを言って持ち上げつつ、持論を引き出してみたり、逆に暴走しそうになると、さっと「僕は山形(出身)なんでそうでもないけどね」みたいなことを言い出して、反対するでもなく(反対するとよけい暴走することが分かっている)、その意見を収束させてみたり、ものすごく冷静に場をコントロールしていると思う。たしかに山口瞳にとっては言いたいことも言えるし、言ってしまって自己嫌悪におちいる直前でうまく話をそらせてくれるし、気持ちよく終わる対談だっただろう。もっとも読者としては、物足りないような気もしないでもないけれど。

先日、高山なおみの本を立ち読みしていたら、kuukuuのスタッフだった人が国立で開いたニチニチというお店が出てきて、久しぶりに国立に行きたくなってしまった。ちょっと検索してみたら、小さなお店みたいだけれど、ときどきライブをやったりもしているらしい。ついでに国分寺にもkuukuuの元スタッフが開いたトネリコというお店があるらしく、いつかまたkuukuuの人たちが集まって、吉祥寺でいい感じのお店を開いてくれないかなぁ、とずっと思っていた私としては寂しい気分半分と、そうやってひとりひとりが、kuukuuでの経験を活かしつつ自分らしいお店を開いていく感じがなんとなくいいなぁとも思う。それが吉祥寺ではなく、国立や国分寺というところもなんとなく“らしい”気がします。

そういえば前回、国立に行ったのは、さくらの花が咲いている頃で、通りには出店が並んでいてものすごい人混みのなかを歩きながら、中央線の高架にともないあの駅舎がなくなってしまうのか、なんてことを思っていたけれど、あれからどうなったのだろうか?