「カヌー犬・ガク写真集 しあわせな日々」−野田知佑−

canoe-ken2006-04-03

初めてあった人に「カヌー犬ブックスという古本屋をやってます」という自己紹介をすると、たいていの場合「なんでカヌー犬?」と言われます。そんなときはとりあえず「本名がガクなんで」と答えているのですが、最近は分かってくれる人が少ない。昔は逆に「じゃ椎名誠のファンなんだ」と言われたりして、椎名誠の本と言えば、高校生の時に母親が記念だからと(なんの記念だ?)買ってきた「岳物語」しか読んでないわたしとしては、それはそれで返事に困ったものでしたが、「ガクだとなんでカヌー犬?」といわれるのもなんだか説明しづらい。

実際、昔、仕事で某プロバイダーの掲示板の管理人をしていたときに、適当につけたハンドルネームをそのまま使っているだけで、それほど思い入れもなかったりする。

とはいうものの、カヌー犬ブックスを始めたときから、“カヌー犬・ガク”関係の本を一冊は持っておくべきだな、とは思い続けて、気がつけば3年、ようやく手に入れました。

改めて、というか、初めてきちんとガクのことを見たり、読んだりしてみると、単にカヌーの前にちょこんと座っているだけではなく、かなり凛々しく、たくましく、独り立ちした犬で、アウトドア犬としての威厳さえ感じます。まじめな話、わたしみたいな人間が勝手に名前を使ってしまってすみません、という気持ちになります。

写真に写っているガクの姿はもちろん、野田知佑さんの文章もすごいし。「ガクは可愛いペットではなく、対応の同居者であり、よく理解し合った同性の友人であった」とか「彼の息子たちは、まだ人間と対等な付き合いはできない。ガクとは実力が違うのだ」ですから。それだけ信頼関係があったのだろう。

これからは簡単に「本名がガクなんで」なんて答えられなくなってしまったなぁ。