「植田正治写真集:吹き抜ける風」−植田正治−

canoe-ken2006-01-05

今年は、1日に寝込んでしまったせいで、浅草にも行かず、実家にも帰らず、と、お正月の計画が崩れてしまった。かといって、特に行きたいところもなく、観たい映画もなく、バーゲンにも興味はなく、正月早々古本屋という気分にもなれず・・・・なんて考えなら、東京都写真美術館でやっている「植田正治:写真の作法〜僕たちはいつも植田正治が必要なんだ!〜」に行く。
意外と見に来ている人が多かったということは、同じようなことを考えている人が多いということなのだろうか。それにしても、このサブタイトルの意図がぜんぜんわからない・・・・。

わたしにとって植田正治といえば、原田知世のアルバムジャケットになった「カコ」である。「ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」や「ボス・サイズ・ナウ」、「TEN VA PAS(彼と彼女のソネット)」などをカバーしたミニアルバムで、写真の題名にあわせてかタイトルも「カコ」だった。バイト先の社員が仕事場でよくかけていたのを思い出します。当時は、プロデュースの鈴木慶一のせいでなんだかときどきひねくれたアレンジになるのがじゃまだなぁ、なんて思っていたけれど、今聴くとどうなのだろう。結局、自分では買わなかったのでわからない。
で、ちょっと調べてみたら、1994年発表とありちょっとびっくり。もっと前、1990年前後かと思ってました。わたしの記憶では「最後の晩餐」と同時期くらいだったんですけどねぇ・・・・。話が横道にそれましたが、その「カコ」を含めた「砂丘シリーズ」ももちろん展示されてます。

人の配置やポーズ、全体の色合いはもちろんのこと、空に浮かんでいる雲や砂丘の模様ひとつひとつまでもが、植田正治の意図のままに作られているような作品を見つめていると、なんとなくロバート・メイプルソープの「花」のシリーズを思い出したりする。メイプルソープほど密室的な雰囲気はなくて、実はこれが自然な姿なのではないだろうか、と思ってしまったりする瞬間さえあるところが植田正治の写真の魅力なのだと思う。