「ガンビア滞在記」−庄野潤三−

canoe-ken2005-06-30

しばらく庄野潤三はいいかな、なんて思っているとなぜか見つけてしまう。探している本はなかなか見つからなかったりするのにね。
1957年の秋から翌58年の夏までロックフェラー財団の研究員として、オハイオ州ガンビアのケニオン大学で過ごした日々を何の奇もなく日記のようにつづった本。このほかにガンビアでの生活を題材にした作品として「ガンビアの春」や「シェリー酒の楓の葉」「懐かしきオハイオ」があります。私はまだ読んでいないけれど・・・・。描かれる世界は、日本での生活でも、アメリカの片隅の小さな田舎町の中でも、それほどかわらず、淡々とした出来事が静かに過ぎて行くのを、おおげさに騒ぎ立てることもなく淡々と書いている、というのがいかにも庄野潤三らしい。登場する人物は学園都市らしく大学に勤める教授や生徒、食料品店や食堂の主人など近所に住んでいるがほとんどで、田舎町ではあるけれど、大学の教授だけあってインド人やイギリス人なども登場する。うかがった視点で眺めてしまうと、1957年という時代にアメリカで暮らすことの庄野潤三自身の葛藤や、人種の違う教授たちの間の気持ちや確執など、揺れ動く要素はあると思うだけれど、そういった要素はまったく出てこない。出てくるのはいい人ばかりである。さらにうかがった視点でものをいえば、ロックフェラー財団のこういった活動が、ジャパン・ハンドラーズを育て、現在の日本を動かしているんだなぁ、とか、ソフトパワーといった言葉が浮かんできたりもする。まぁそういったことは庄野潤三とはまったく関係ない。

話は変わりますが、6月から新しい手帳を使っている。ポケットサイズのモールスキン。もういい大人なのでいつまでもソニプラで手帳を買うのはやめようと、思い切って買ってみました。とはいうものの、そんな手帳に何を書いているかといえば、私はカレンダー式のスケジュール帳を持っていないので、単にその代わりなんですけどね。月から金まで会社に行って、たいていの場合そのまま帰って来るという生活をしているとカレンダーに書くことってほとんどないじゃないですか?みんなあるのだろうか?土日だって全部予定が埋まってるわけじゃないし・・・・。で、普通のスクエアのノートに箇条書きにして予定を書いているわけです。あとは2冊同じ本を買わないように山口瞳永井龍男の作品リストとか国立の古本マップ、読んだ本に合わせて雑記を書くためのネタとか・・・・。
一応、ネタをためておいて本に合わせて選ぼうと思っているのですが、うまく結びついたことはない。今回も「ガンビア滞在記」と手帳になんの関係もない。強いて言えば庄野潤三の手帳はものすごく几帳面に書かれていたんだろうな、というくらい。モールスキンの手帳を紹介していた片岡義男も丁寧にいろいろ書いていそうだ。山口瞳とかは、他人が判別できないくらいの勢いでメモっていたような気がする。単なる思いこみに過ぎないのですが、作家の手帳を並べた本なんておもしろそう。ありそう。いや絶対にある気がする。作家じゃないけど小西康陽とかの手帳も見てみたい。