「甘酸っぱい味」−吉田健一−

canoe-ken2005-04-06

昭和32年、3月から6月にかけて、熊本日々新聞に連載された随筆をまとめたもの。「甘酸っぱい味」というタイトルですが、食べものや飲みものについて書かれたものばかりではなく、言葉や雑誌・新聞について、東京や大阪などの都市、文明、戦争や政治・歴史について、あるいは暇つぶしや煙草の煙について、思い出話、昔話といった身近な題材まで幅広い。もちろんバーや飲み屋、おでん屋など、食べものや飲みものについての文章もあります。
政治的な意見などは、ちょっと違うような・・・・という気がする箇所もあるけれど(というか単なる見解の違い?)、新聞連載の割には、そのときの事件や出来事などを取り上げた直接的な時事ネタがないので今読んでも違和感はありません。でも3カ月のと期間が決まっていて、連載が始まる前に何編かは書きためておくにせよ、やはりたいへんな仕事だったらしく、「もうこんな仕事はしたくない」とあとがきで本人も書いてます。

先日、Web上で書いた文章はいつまでも残ってしまう、といったことを書いたけれど、この雑記も、毎日ではないにしろ、とりあえずカヌー犬ブックスをオープンした時から、書き続けているわけで、サーバー上にもデータを残してます。基本的に私は前の文章を読み返すことはないので、何を書いたのかぼんやりとしか憶えてなくて、その日その日の思いつきをただ書いているだけに過ぎません。
フリーペーパーの場合は、そのときのフリーペーパーがなくなってしまえば、書いた文章が人の目に触れることはないので、前に書いたことと違うことを平気で書いたり、ちょっとした思いつきを適当に書いたりしてました。いや、今でもかなり適当に書いてますが、最近、同じように書いてると、読み返した時、まったく反対のことを書いてしまったりしてないか、不安になります。
人間生きてりゃ考え方が変わったり、違う見方としたり、ということはよくあることだと思うのだけれど、こうやってひとつの雑記に書かれていて、多数の人に見られているのはちょっと困ったものかな。どうしたものかなぁ。今のところ、文章をきちんとしたり(そんなことしてたら日記なんて書けない)、過去のアーカイヴを削除したり、ということは考えてませんが・・・・。