「無心状」−井伏鱒二−

無心状というのは、地方から出てきた学生などが、月の生活費が足りなくなったため、お金を送ってもらうために実家に出す手紙のこと。
ここではお金が足りなくなった井伏鱒二が、普通に書いたら怒られるだけなので、もっともらしい理由や状況を作り上げて実家の兄にあてに手紙を書くのですが、その手紙を課題と間違えて大学の教授に送ってしまいます。そんな手紙を教授に見られたら・・・・と思うといてもたってもいられなくなり、大学の事務室でその教授の住所を聞き、教授の家まで封筒を取りに行く、という話。
前にも井伏鱒二の随筆について「これは随筆なのか?創作ではないのか?」と書いたけれど、この本に収録されている作品も戦争の時の話もあるけれど、ほとんどは日常的な出来ごとをユーモアたっぷりに描いてます。この辺は部分的に小沼丹庄野潤三に繋がっていくところですね。

「やまない雨がないように」「明けない夜がないように」どれだけ暑くても夏は終わって秋になるわけで、週末くらいから急に涼しくなって、おまけに天気もあんまりよくない。週末は長袖のシャツをタンスの奥から出してアイロンをかけたりしてました。そろそろ掛け布団も出さなくちゃいけない頃ですね。
そんなわけで一日のうちで雨が降ったりやんだりするのでなかなか出かける気にもなれないけれど、空の様子と相談しつつ3時頃から上野→根津→日暮里と歩いてみた。目的は国際子ども図書館とカヤバ珈琲、谷中商店街、いせ辰、オヨヨ書林、駄菓子屋横丁、谷中芸工・・・・など。時間がなくて全然まわれなかったけどね。

国際子ども図書館は国立の児童書専門図書館明治39年に創建されたという洋風建築を増築・改築した建物は、大きなシャンデリア、吹き抜けになっている鉄の大階段、そしてガラス張りの外観など、古さと新しさがうまく合わさっていて、建物を眺めて、それからカフェでコーヒーを飲むだけでも満足するのではないかと思ってしまう。設計は安藤忠雄建築研究所とのこと。
朝ご飯を食べたきりでおなかがすいていたので、入ってすぐにカフェテリア モアでクリームたっぷりのホットケーキを食べたりして、ざっと置いてある絵本や児童書などを眺めて出てきたのだけれど、ホントは半日くらいのんびり本を広げてみたりしていたい場所です。
その後、根津方面へ。もう一つの目的だったカヤバ珈琲は5時閉店だったため入れず。やはりもう一度来なくてはと思いつつ、谷中銀座の商店街を通って日暮里に着く頃にはすでにまわりは真っ暗で、日暮里駅の近くにある羽二重団子でお団子を食べて帰ってきました。なんだか甘いものばかり食べてた週末の一日。