「巻頭随筆II」−文藝春秋 編−

先日、中央線巡りをしたときにIIとIIIを手に入れたので、これで巻頭随筆も4冊そろったことになる。実際は6まで出ているのだが、5と6は1980年代も後半になってくるので今は読む気はなし。もしかしたら何年かして読みたくなるときがきて、そのときになったら全然手に入らなくなってしまう、なんてことになるかもしれない。でもそのときはそのときということで。先のことは分かりません。
作家はもちろん大学教授から大企業の社長、医者、省庁の役人まで、各分野でかなり大きな功績を残したと思われる人が自身の思い出や知り合った人について語っているので、どれも読んでいて興味深い。でもまったく興味のない、あるいは難しい分野だったりすると、読んでいて文字の意味が全然頭に入ってこなかったりする。これが「おしまいのページで」だったら何人かの作家が交代で書いている分、日常の雑記みたいな回があったり、つまらない話題でも文章のおもしろさで読ませてしまうが、「巻頭随筆」の場合は本職ではないだけに分からない人にもおもしろく読ませるという文章ではないので、私などはつい退屈してしまうわけです。どちらがいいということもないですけどね。

土曜日に先週からパルコギャラリーで始まった「ブラニフ エアライン エキスポ」を見てきました。
ブラニフ・エアラインはアメリカの航空会社で、1960年代から〓70年代にかけて、ハーマン・ミラー社のテキスタイル部門長だったアレキサンダー・ジラルドを筆頭にエミリオ・プッチアレキサンダー・カルダーといったデザイナー、クリエイターを迎い入れ、最新トレンドを乗せた飛行機と言われた伝説の航空会社。展示品を見ているとその徹底ぶりになんだか実在の航空会社のものというより、雑誌の特集で、デザイナーたちを集めて「自分ならこうする」というテーマのもと、架空の航空会社を作ってみました、といった感じでした。

ここまでやるとなんだか自由すぎておもしろみがちょっとなくなってしまうような気がする。というのは企業のロゴやノベルティに関するデザインのおもしろさって、やはり会社としてのイメージとかデザインにかける予算とかとユーザーにとっての使いやすさ、機能面、そしてデザイナーのやりたいことなどがせめぎ合った結果、「おぉ!」と思うようなおもしろいものができたり、ときには「なんだこりゃ!?」というものになってしまったりするのがおもしろいのではないかと。
特にエアラインもののおもしろさって、飛行機という先端の工業製品ということと、ロゴ、機内食やスチュワーデスの制服、チケットなど幅広いノベルティがあるということ、海外旅行というある意味“夢”売る会社なのでデザインを含めイメージをある程度重要視していること、世界各国の会社が同じようなものを作っているのでそれぞれ比較できること・・・・なのではないかと思うのですが、ブラニフの場合飛び抜けすぎててほかの航空会社と比較できません。まぁそこがブラニフブラニフたる所以でもあるわけなんですけどね。