「残光のなかで」−山田稔−

canoe-ken2005-08-22

先日書いた京都に持っていくために探していた本。山田稔が過去に発表した作品からのアンソロジィなので、それぞれの作品を読んでいくうちに重なりが出てしまうだろうけれど、とりあえず山田稔の略歴と作品の一覧を確認しておこうと思って・・・・。
さっそく、京都に向かう新幹線の中で経歴から読んでみて、山田稔が子供の頃から京都の下鴨神社の近くに住んでいて、糺の森を通って学校に通っていたことを知って、びっくりする。前にも書いたように今回の旅行の目的の一つは下鴨神社の境内で行われる古本市なのです。単なる無知にすぎないのだけれど、こういう偶然はものすごくうれしい。

そんなわけで、本の中に出てきた糺の森を舞台とした初恋の話を思い出したりしながら、京都の着いて荷物を預けたらすぐに、森の中の古本市を散策。考えていたよりも多くの古本屋さんが出店しているし、神保町やデパートの古本市のように本の周りに人だかりができているというわけでもないので、ゆっくりと見れてうれしい。ときおり雨がぱらついては止むといったような曇り空で、出店している店の人はハラハラしどうしだったかもしれないけれど、見るぶんにはちょうどいい、とは言わないまでも我慢できる範囲。希望を言えばもう2カ所くらい休憩する場所があって、コーヒーとか飲めるといいのに、と思いました。
基本的に自分の本をたくさん買い込もうとか、カヌー犬ブックスのための仕入れをしようとか、という気はなくて、古本市の雰囲気を味わえればいいという気持ちで回っていたのですが、結局、一日(夕方から)では回りきれず、2日に分けて見回って、小島政二郎とか小沼丹など、7冊くらい購入しました。2回も見に行ったのは、泊まったホテルが、下鴨神社の最寄り駅である出町柳駅から2駅しか離れていなかったことと、もう一つの目的たっだ手作り市が行われている知恩寺も最寄り駅が下鴨神社と同じで近かったせい。
手作り市が開かれる日は、めずらしく6時半に起きて7時にはタクシーに乗り込んでました。こちらのほうは、主婦の手作り雑貨っぽいものや、京都ならではの民芸品っぽいもの、漬け物などの食べ物が半分くらい。それに混じって若者による今どきの手作り雑貨やケーキ、パンといったものが並んでいました。・・・・なので、私が欲しいと思う、あるいは使えるようなものはほとんどないのだけれど、なんとなく見て回りながら、お多福珈琲のコーヒーを飲んだり、キッシュやケーキを食べたりしてました。

境内の何周もして、歩き疲れたところで、知恩寺を一度出て、進々堂で休憩。広い店内では、おしゃべりをする人、本を読む人、新聞を読んでる人、誰かを待っているらしき人、ただ時間をつぶしてるだけのような人・・・・が、同じ空気の中でそれぞれに過ごしている。進々堂みたいな喫茶店が私の出身校の近くにあったらなぁ、なんて贅沢は言わないけれど、せめて西荻荻窪にあったらいいのに、とつくづく思う。
さて、進々堂は1930年にカルチェラタンに感動したオーナーが日本にも同じような空間が欲しいとオープンさせた喫茶店。ということは、京都大学出身でフランス文学を専攻していた山田稔も大学時代、ここにに通って本を読みながらコーヒーを飲んだりしたのだろうなぁ。