「百叩き」−小島政二郎−

canoe-ken2005-08-12

「百叩き」とは、随筆の題名としては少し似つかわしくと思うかもしれない。江戸時代に行われて刑罰を、今ではすこし滑稽でノンビリしていると言い、「なんの権力も持たない我々が悪い奴を捕まえてきて、さも権力を持っているような顔をして、そいつを百叩きに処するところを空想するだけでも、正直な話、楽しいではないか」、と。そしてここであげられるのは、権力を振り回し私腹を肥やすことだけを考え、国民のことをまったく考えない政治家や役人や戦後、物事をいかに簡単に、インスタント済ますようになってしまった戦後派の人々、髪を長く伸ばして街を闊歩する若者たち・・・・など。
言いたいことをズバズバと書いていくのは、書くほうも読むほうも、ある意味気持ちがいいのかもしれないが、私は基本的に、年寄りの愚痴は恥ずかしい、と思う性格なので、やはりそれ以外の交友録や旅や料理の話のほうが好きです。
そもそも歳をとった人間が現状を嘆いたり、昔は良かった、というのはおかしいと思うのです。つい、今の世の中を作ってきたのは、自分たちであり、気に入らない子どもたちを育てたのも、自分たちなのでは・・・・と考えてしまう。そんな単純なことではないのだろうけど。
そんなこととは別に、この本を読み始めたのは月曜の朝からなのですが、前述の“百叩き”のターゲットとして一番最初に取り上げられたのは、郵政省と郵便局だったりする。一日2回の配達が1日となり、それさえも遅くなったことや、勝手な郵便番号をつけたのに全然便利にならない、など、郵政省、郵便局の役人的な態度を羅列して、最後には民営化するべきだ、と結論づけている。その民営化は否決されましたが・・・・。加藤紘一のときもそうだけれど、国会のやりとりを見てるとほんと政治って怖いなぁ、と思いますね。

明日から夏休み。お盆と時期なんてどうせどこにも行けないし、実家に帰るわけでもないので、いつもならダラダラと過ごしてしまって、なにもせずに終わってしまうのですが、今年は京都に行って来ます。下鴨神社の古本市と百万偏の知恩寺で毎月15日に行われている「手作り市」です。なんだか野外ばかりで暑そうだけれど、楽しみ。というわけで、カヌー犬ブックスも16日まで夏休みとさせていただきます。