「河岸忘日抄」−堀江敏幸−

canoe-ken2005-04-21

2月に出たばかりの堀江敏幸の長編小説。正直言ってこんな早く手に入るとは思ってませんでした。しかもブックオフで。最近、ブックオフで前の作品もときどき見かけるようになったけれど、少しずつ売れてきているのかな。
物語のストーリーとしては、30代初めから半ばくらいの主人公「彼」が、妹の死や仕事での何かが理由で日本を離れ、異国のとある河岸に係留された船で生活をはじめる。そして日々、本を読んだりレコードを聴いたり、食事作ったりコーヒーを淹れたりして、過ごす。外部との関わりは公園で何年ぶりかで会った老人、その船の持ち主である大家と、時おり「彼」に郵便物を届けに来る配達夫、枕木さんという日本での友人とのFAXや手紙でのやりとり・・・・くらい。そのためらうこと、待機すること、逡巡することに身を委ねる「彼」の静かな生活と思索が、「彼」が読んだ本や映画の内容などと連想ゲームのように絡み合いながら、淡々とつづられていく。いくつもの挿話が、唐突とも思えるつながりで語られていくのだが、読んでいて違和感はまったくなく、むしろやわらかくなめらかな言葉のつらなる文章を目で追いかけていると、心地よい気分になってしまう不思議な感触の作品です。

日曜日、イベントのポストカードを置くついでにオーガニックカフェに行って来ました。オーガニックカフェは、再開発地域になっているのだけれど、まだ営業してますね。周りを見るとほとんどの店が閉まっていて、なんだか逆側のGTタワーができる前の商店街を思い出しました。そのとき、一回、夜に再開発前の商店街に行ってみたことがあるのですが、すべての店が閉店していて、街灯もついていないくて、まさ廃墟という感じでめちゃくちゃ怖かったです。
中目黒はいろいろ再開発しているけれど、結局盛り上がっているのは川沿いで、GTタワー周辺とか寂しいまま。やはり駅を出てすぐに通っている山手通りがネックなのか、なんてことを中目黒生まれの友達と話したのは、もう10年くらい前のことで、あれから中目黒もかなり変わったけれど、駅前はあんまり変わっていないような気がします。