「秋日和」−里見トン−

タイトルですぐに分かるように小津安二郎によって映画化された物語の原作。といっても、小津安二郎と里見トンが一緒にストーリーを考えた後、それぞれで小説化、映画化を行ったという話をどこかで読んだことがあります。
秋日和」のほかに死んでしまった昔の親友の隠し子と実の息子が恋に落ちるのを止めようとする映画監督を描いた「ひと昔」や「藝者にでる」などの作品が収録されているのですが、どれも人情話というかちょっとした小話みたいなストーリーにもかかわらず、バタバタした感じがあまりなく穏やかな雰囲気の作品ばかりで、文字通り秋の晴れた日に喫茶店の窓際の席に座ってページをめくるにのにぴったりの本かもしれません。

さて、昨日は久しぶりに気持ちのよいお休みの日で、でも特に何をする、どこに行くというわけでもなかったのですが、午前中から窓を開けて、掃除をしたり、布団を干したり、洗濯したり、レコード聴いたり、ソファーで寝ころんだり、本を読んだり・・・・そんなことでもなんだか心地いい気分。そして秋のこういう日には、なぜかPLECTRUMの「THE ADVENTURE OF PONY RIDER」を聴きたくなってしまう。
PLECTRUMは、私にとってストレートな青春ギターバンド。このアルバムが出たときには私はもう20代後半だったせいもあり、ある意味ちょっと振り返るという意味で、そして自分がこういう音楽をよく聴いていた頃にはなかったまっすぐさや素直さを、そのまま奏でているような感じに惹かれてるのかもしれません。多分、10代の終わりとか20代のはじめだったらいいとは思えなかったと思う。同じような意味でArchの「In The Crosstown」やGomes The Hitmanの「weekend」もときどき続けて聴きたくなります。