「井伏鱒二 弥次郎衛 ななかまど」−木山捷平−

台風が近づいてきているため、今週はどうやら雨降りの週末になりそうだったので、土曜日は、雨が降り出す午前中から自転車で荻窪に出て電車で高円寺へ。
高円寺の駅前はどこからか祭りの音がしたり、なにやらやぐら組み立てられていたりそこいらじゅうに紅白の幕が張られていたり、あるいは商店街の人たちが屋台で売るらしいものを運んでいたり駅前は慌ただしい。今週末は高円寺阿波踊りだったのね。
どうせ夜まで高円寺にいるつもりはないので関係ないけれど、高校の頃、平塚の七夕祭りの期間中、テキヤの人たちがうろつく商店街を歩いて学校に通っていた感じを思い出した。
私も神奈川出身なのでどうこう言う資格はないけれど、なんだか地方のものを強引に東京に持ってこないで欲しいなぁとちょっと思う。そういうのはその地方だからこそのおもしろさがあるのではないかと。どうでもいいか、よくないか。わからん。

木山捷平は岡山出身、井伏鱒二は広島出身だが、地理的にはかなり近い場所であるとのこと。
二人とも戦争時には故郷に疎開していて、同じように文学に携わっているような何人かの友人を含めて疎開先でも時々あっていたらしい。その頃のエピソードをなどもこの本で触れているのだが、その集まりの中に「文学をやるには東京にいかねば始まらない」みたいな雰囲気が、どことなく漂っていて、特に井伏鱒二疎開先から東京へ出てからは、それが加速して我れ先という感じでみんな東京へ出てくる。
そして木山捷平西荻井伏鱒二荻窪に住むというわけだが、この本を高円寺の喫茶店で読んでいると、その頃の様子と今の高円寺の阿波踊りが微妙に結びついてくるようで、なんだか興味深いような気がしてくる。